銀行なのにブラックでも融資してくれる?個人信用情報の基礎知識
銀行でカードローンを利用する場合に、利用者の信用はどうやって審査されるのでしょうか?
私たちには、カードローンやキャッシングといった金融取引の際に銀行や消費者金融の実施する審査の内容を知ることはできません。自分の収入や職種・個人情報などを記入用紙に書き、それを金融業者に渡したら、あとは待つしかすることがありません。
その結果、審査に受かって借り入れができるようになっても、審査に落ちて借り入れを断られても、その理由を聞き出すこともできません。では、金融業者は、どうやって利用者を選別しているのでしょうか。そう疑問に思っても不思議ではないでしょう。
今回は、銀行が借り入れに際して重視していることと、ブラックと言われる状態についての解説と、自身がブラックになってしまった時の、銀行の借り入れについて解説していきたいと考えています。
銀行が審査で重視することとは?
銀行が借り入れを申請してきた利用者を選別するときに、一番気を遣っていることは、当然とも言えますが、返済ができる相手かどうかということです。銀行の借り入れは、ほかの金融業者に比べて比較的金利面で優遇されています。されは同時に、銀行がリスクを避けるからでもあります。
この場合のリスクとは、貸した金を回収できないという事態になることです。具体的には、債務者が破産した場合、または債務整理をした場合が該当します。こうなると今までの債権が減少、あるいは帳消しになり、銀行にとっては純損益となります。
不安要素に対する銀行の策とは
そのような事態を避けるには、事前の審査でそうなりそうな利用者を排除するしかありません。すなわち、銀行の審査で最も重視されるのは、返済能力の高さと他の金融業者からの債務状況です。銀行の借り入れで意外と見落としがちなのが、この他の金融業者の借り入れ状況です。
消費者金融に比べて、多重債務に対する警戒が非常に強いのが銀行です。同時期に4社以上から借り入れしている場合、どれだけ収入が高くても銀行から新規に契約してもらえる可能性は極めて低くなるでしょう。
具体的な金額による対応の違い
銀行の審査は、借り入れ金額が少ない場合、ほとんど形式的なものです。極端に言ってしまえば、50万円以下の借り入れの場合、個人情報に間違いがなく、定期的な収入があれば、審査ではじかれることは滅多にありません。もちろん、上述した同時借り入れをしていない場合の話です。
50万円以上100万円以下の場合、私たちがするカードローンでは額が大きい部類になります。この場合、収入の証明が必要になるケースがあります。ですが、多くの銀行では審査自体の難易度はそれほど高くありません。なぜなら、この中間層の借り入れ利用者をどれだけ取り込めるかが、金融業者間の生き残り競争に勝てるかの分岐点であるためです。
少額の借り入れは、金利による利益が少なく、逆に高額の借り入れは、利用者の絶対数が少ないです。そのため、銀行がこうした融資で利益を上げるためのボリュームゾーンは、借り入れ金額がおよそ50万円から200万円の間になるのです。
100万円を超える借り入れの場合、ほとんどの銀行で収入の証明が必要になります。これは、銀行のリスク管理として当然の選択です。借り入れ金額が大きくなれば、その分、返済は長期に及び、返済難易度が上がります。それに対処出来るだけの収入が必要になります。とは言っても、借入金額が200万円に満たない場合、収入の具体的な額はそれほど重要にはなりません。
銀行の借り入れで重要なこと
よく、銀行の借り入れと聞くと高い収入が必要だと考えている人がいますが、実際はそんなことはありません。高い収入ではなく継続的な収入が重要なのです。カードローンを契約する場合で収入の額が重要になってくるのは100万円、あるいは200万円を超える長期の借り入れの場合です。
借り入れ金額が100万円未満の場合は、収入の額はそれほど重視されません。収入よりもほかの金融業者からどの程度借金をしているかということのほうが、よほど細かく見られています。銀行から借り入れをしたいと思ったら、他の金融業者からの借り入れを極力減らすことです。
総量規制との関係について
銀行の借り入れは、総量規制の対象にならないため、既に消費者金融で借り入れを目一杯にしている状態で、銀行の借り入れをしようとする場合があります。利用者の目線から見れば、確かに抜け道的な方法なのですが、銀行の目線から考えた場合、こうした利用者はどう映るでしょうか?
既にほかの金融業者に大量の借金をしており、そこからさらにまた借金を重ねようとしている利用者があるとして、読者のみなさんはお金を貸そうと思うでしょうか。おそらく、そんな不安な相手にはお金を貸したくないと考えるでしょう。あるいは、納得ができる理由がないと貸したくないと考えるかもしれません。
そういった背景もあり、総量規制を超えた借り入れをする場合、先に消費者金融で借金を作った状態で銀行を利用しようとしても、高確率で審査に弾かれます。そのような場合は、先に銀行で借り入れをしたほうがいいでしょう。
ブラックとはどういう状態なのか
借り入れをすることを考える上で、切っても切り離せないというほど知っておかなくてはいけないことは、「ブラック」という言葉です。このブラックには明確な金融上の意味があるわけではありません。私たち借金をする側が便宜上、そう呼んでいるというだけです。ですが、借り入れをしたことがある人の中では、「ブラックリスト」という言葉に聞き覚えがない人はいないでしょう。
ブラックとはそもそも何なのか?
ブラックといっても、借り入れを今までしたことがない人にとっては、何の事だかよく分からないという人もいると思います。ブラックとは大きく分けて3種類あり、申し込みブラック、金融事故によるブラック、債務整理によるブラックがあります。ここでは、それぞれについて簡潔に説明します。どうすればそうなるのかということと、実際にブラックになった場合の対処法についてです。
(⇒ブラックになるとカードローンは使えない?)
申し込みブラックとは?
ブラックの中でも比較的軽いものが、この「申し込みブラック」です。申し込みブラックとは、ごく短期間のうちに、複数の金融業者に借り入れを申し込むことによって、資金難だと判断され、借り入れが一定期間できなくなる状態のことです。基本的に、同時に複数の金融業者に申し込むことは避けるべきです。借り入れを同時期に申し込むのは多くても3社までにして、それ以上の申し込みはやめましょう。
申し込みブラックは、ブラックとは言え具体的に被害が出るわけではありません。通常のブラックは、一度なると5年間はその情報が消えないのですが、申し込みブラックはその限りではなく、単にその短期間内に借り入れが出来なくなるだけなので、少し時間が経過すれば、また問題なく借り入れができるようになります。
この状態にならないようにするのは簡単です。審査に落ちたときに、焦って他の金融業者に手当たり次第に申し込みをしなければ問題ないでしょう。
金融事故によるブラック
一般的に、ブラックになるというケースで一番多いのが、このタイプのブラックです。金融事故によってブラックになると、その借り入れにおいて制約を受けることになります。
金融事故とは何なのかというと、借金の返済で期日までにお金を返せなくなることです。滞納行為などがこれに該当し、延滞行為も場合によっては金融事故とみなされます。滞納とは、期日までに1円たりとも返済しないことで、延滞とは、返済こそしていても、指定された額に対して返済額が足りず、支払いを待ってもらうことを指します。
金融事故でブラックに登録された場合、登録より5年間は、該当する銀行及び消費者金融などの金融業者で借り入れができなくなります。正確には審査の難易度が非常に高くなるだけで借入自体不可能になるわけではないのですが、ほとんどの場合審査で弾かれると考えてもいいでしょう。
ブラックになるきっかけですが、これは延滞行為よりも滞納行為の方が厳しいです。延滞は、金融業者に自分が支払いができない理由を説明し、その理由に妥当性が認められる場合は、延滞とはみなさないことが多いです。しかし、滞納は違います。全く返済を行わないのは悪質と判断され、1日でも滞納した場合、下手するとすぐにブラックになってしまいます。とにかく滞納だけは避けなくてはいけません。
金融事故のブラックの抜け道
ですが、金融事故など起こさないに越したことはありません。自分の行動範囲の近くに上記に該当する金融業者がない場合、当分の借り入れができなくなってしまいます。
債務整理のブラックとは?
金融事故によるブラックでは、利用する信用情報機関が違う金融業者を使い分けることで、ブラックによる利用制限を回避する方法が使えましたが、今回の債務整理の場合は、そういった抜け道はありません。債権整理によるブラックは、非常に強い制約を受け、借り入れという行為自体がほとんどできなくなります。
債権整理とは、要するに、自分で借金の返済や管理ができなくなり、法的手続きによって、税理士などの専門家にこれまでの債務(借金)を代行管理してもらうことです。債務整理で最も有名かつ強力な効果があるのが自己破産で、膨大な額になった多重債務を力づくで解決する唯一の方法でもあります。
債務整理は、その効果も絶大ですが、その分利用するにはいくつかの条件を満たさなくてはならず、債務整理後も永続的に制限を受けるものがあります。特に、企業の一定以上の役職につけなくなること(たいていは取締役以上の役員)や、弁護士や税理士に生涯就けなくなることが知られています。
少し脱線しましたが、債務整理を行うとすべての銀行や消費者金融で5年間は借り入れができないと考えて構いません。たとえ、「ブラックOK」と宣伝している消費者金融であっても、自己破産者に対しては審査の問題として、門前払いする可能性が高いです。
債務整理は借金解消の最後の手段です。おいそれとは使えませんし、利用者にとってデメリットもあります。それが金融業者もわかっているからこそ、このケースでは厳しくなるのです。
ブラックになった時の対処法
ブラックになった時にどうするかというのが、借り入れを考えるときに必要なことです。前提として滞納や延滞をしないこと、無理な返済計画を立てないことがありますが、それでもなお、延滞をせざるを得ない事態になることもあるでしょう。やむを得ず、ブラックになってしまうことや、気づかないうちにブラックになっていたということもあります。後者は、借金の支払期日を忘れていて、知らずに滞納行為をしていたというケースが多いです。
例え、何か問題を起こしたとしても、いきなり全ての金融業者が使えなくなることはないと知っておくことが重要です。
ブラックの本当の注意点
債務整理をした場合は、借り入れができなくなるのは最大で7年だということを知っておきましょう。債務整理をした事実がありながら、借り入れがすぐに出来るような業者も危険です。ブラックになった時には、普段以上に警戒しておくことです。悪徳金融業者は、こうした弱者を狙っているということを把握していないと簡単に騙されてしまいます。
ですが、「金融で甘い話は存在しない」ということを知っておけば、こうした悪徳業者にはほとんど引っかかりませんし、ブラックになることのデメリットを知っておけば、借金の返済には細心の注意を払うようになるでしょう。最も大切なのは、ブラックについて「知っておく」ことです。どういうものか知っておけば、不必要に焦ることもなく冷静に対処できるでしょう。
【参考ページはこちら】
ブラックでもカードローンが作れる?そのからくりとは