65歳からでも利用できる消費者金融は契約者に何を求めるのか?
65歳以上の高齢となると、消費者金融などはお金を貸してくれなくなるんじゃないかという不安を持っている人は多いと思われます。確かに、いくつかの消費者金融や銀行は、借り入れの年齢制限を設けており、その多くは65歳ないしは70歳を借り入れができる年齢の限度としており、それを越える場合、新規の契約および、新たな借り入れはできないようになっています。
また、貸金業の法律で、80歳を超える債務者の貸付け契約は不可能とされているので、高齢者が新規の借り入れに対してなかなか足を踏み出せないということも想像できます。
しかし、地方銀行や消費者金融の中には80歳を超えない範囲であれば、たとえ65歳以上の新規の契約者であろうとも、お金を貸してくれるような会社も存在します。金融業者にとって、高齢の債務者は、老衰や病気といった原因で死亡する可能性が高く、そうなれば債権(貸したお金のこと)の回収ができなくなることもあり、あまりお金を貸したくないリスクの高い相手と考えがちです。
ですが、そうした中で、高齢者を専門とした貸金業者もあるぐらいです。なぜ、金融業者はあえてリスクの高い高齢者にお金を貸すのでしょうか。ここでは、金融業者が、なぜ高齢者をターゲットとしているのかについての理由の解説と、借り入れを申し込んでくる高齢者に何を求めているのかを考えていきます。
(⇒カードローンの年齢制限を教えて!)
なぜ高齢者を対象にするのか
お金を貸す相手としては、高齢者よりも若い世代のほうが望ましいのは明らかです。なぜなら、若い世代ほど、モノに対する購買意欲が強く、その分お金を必要とする機会が多いので必然的に銀行や消費者金融を利用する頻度も高くなるためです。
それに比べて高齢者は、既に一定以上の資産を持っていることが多く(貯蓄や債券や土地など)、しかも若い世代に比べて、新しく何かを買おうとしたりどこかでお金を使おうとする考えを持っている人口は少ないためです。
ではなぜ、こうしたデメリットのほうが大きいような高齢者が、消費者金融のターゲットになっているかということを解説していきます。
業者が高齢者を取り込みたい理由
借り入れをする意欲も低く、返済途中のトラブルのリスクも高い高齢の債務者に対して、金融業者がアピールをしてまで取り込みたいと考える背景には、いくつかの理由があります。その理由とは、大きく分けて、「現在の貸金業の顧客飽和」と「高齢者の収入安定性」と「高齢化社会への対応」の3つが挙げられます。そして、これらを満たす条件の高齢者を金融業者は求めているのです。
貸金業の顧客飽和とは
消費者金融や銀行が展開しているキャッシングやカードローンなどの貸付け事業は、少ない利用者を互いに奪い合う激戦状態になっています。もともとそれほど多くなかった借り入れ利用者ですが、現在の利用者規模は累計で約1000万人とも言われるほどの大市場へと成長しました。
これだけ聞くと、充分利用者はいるのではないかと思われるかもしれませんが、この数値は今までの利用者全てを合わせた数であり、現在借り入れを利用しているのは、それほど多くはないのです。加えて、貸金業者の数は大手、中小の消費者金融に加えて、銀行が借り入れのカードローン事業などに参入したため、利用者が分散し、各金融業者が金利やサービス提供の差別化によって棲み分けを行い、かろうじて共食い状態にならずに済んでいるのです。
今まで借入をしたことがない人が新たに借り入れをするような場合には、大手の消費者金融や有名な銀行を優先的に利用しようと考える傾向があります。というよりも、金融の知識に疎く、どこを利用したらいいのかわからないといった心理状態にあるため、「とりあえず有名な場所で借り入れをすれば安心」という、一時的な思考停止状態になっていると言ったほうが的を射ているかもしれません。
こうした原因もあり、中小の消費者金融や地方銀行は、今までとは違う新たな客層を取り込む努力を余儀なくされました。そこで、今まであまり重要視されていなかった高齢者層を新規として取り込めないかという話になり、高齢者向けのサービス展開が始まったのです。
(⇒65歳以上でも借り入れできるカードローンは?)
高齢者の収入安定性とは
金融業者が高齢者を客層として取り込みたいと考える理由は、新規開拓という理由以外にもあります。いくら新しい客層を取り込むといっても、返済で問題があるリスクをいたずらに抱え込むのは自殺行為となります。新規開拓には、リスクとリターンを考える必要があります。
65歳以上の高齢者のほとんどは、仕事を退職していることが考えられます。当然仕事による収入は無く、返済はどうするんだという話になってきます。
消費者金融とは別に、高齢者の借り入れには、今まで年金貸付制度というものがありました。これは、年金を返済時の担保とすることで、非常に低金利の貸し付けを行うといった、いわば年金受給者限定の借り入れ方法であったものです。
金融業者は、この制度の欠点を補うような形で高齢者向けの貸し出し制度を打ち出しました。高齢の債務者を取り込む上で最も懸念されるのは、返済能力がないと判断されることです。職業の中には、65歳以上であっても続けられるものがあります。教職者や医者、自営業者などです。彼らは65歳を超えても収入を得ているので、借り入れの際の返済であっても問題ないのですが、定年退職した年金生活者は、年金以外の収入がありません。
そこで、中小の消費者金融は、年金であっても収入として扱うと同時に、利用年齢層を引き上げ、65歳以上であっても新たに借り入れができるようにしたのです。年金は仕事の収入と違って、今まで納めていた場合には、確実に受け取ることができる収入源であり、かつその額は一定で非常に安定しています。加えて、年金貸付制度でも欠点である高額借り入れも可能にすることで、高齢者を取り込もうと考えたのです。
高齢化社会への対応とは
金融業者が高齢者を貸し出し事業の対象と考えるようになった最大の理由がここにあります。これからの金融業を考える上で、外して考えることができないほど重要な課題が、「高齢化社会に対しての企業の舵取り」です。
高齢化社会になるということは、全人口の年齢別に占める高齢者の割合が約4分の1以上になるということを指します。さらに、高齢者が一番資金を持っており、ここの顧客をどうやって経営に組み込んでいくかが非常に意味を持ってくるということをいち早く察知しての経営方針だったのです。
高齢者は冒頭で述べたように、資金があるにも関わらず、購買意欲がそれほど高くありません。そのためお金を借りたいと思う人自体が少ないと書きましたが、それ以外の層もいるのです。高齢者が全員そういった富豪層であるはずもありません。
具体的な対応は?
むしろ、年金生活者の中には、まとまったお金が必要だと考えている層がいます。消費者金融のターゲットはこの層なのです。それほど裕福ではない年金生活者を対象として、定額かつ低金利で、年金貸付を知らない、または年金貸付では対処しきれない事情を持つ高齢者を対象に、中小の消費者金融は独自のサービスを展開するようになりました。
高齢者が借り入れをする際には、事前にこの内容をしっかりと理解することができるかどうかも審査に含むことがあります。当然ですが、健忘症や認知症の可能性がある高齢者には、いかに審査が緩い中小消費者金融といえども、お金を貸すことはしません。
返済を問題なくおこなえる高齢者を選別しつつ、できるだけ多くの、今まで借り入れをしてこなかった顧客を取り込めるかどうかが、今後の中小の消費者金融の課題でもあるのです。
【参考ページはこちら】
仕事してない無職でもカードローン利用できる?